ちょうど、危険な感じの人がいたのでたずねてみました。
一人でいたら、こんなことできなかったけど、ほそみちゃんの前では強気になるのです。
でも女性を連れて強気になっている男の人は、端から見ると結構子供っぽく見えるような気もするので
若干葛藤がありますね。
「満喫したね。しんじゅく。次はなんのサーカス観る?」
「もっと危険なところへ行きたいわ。サーカスよりも、何倍も危険なのがいいわね。」
「いろんな猛獣が出てくるわね。」
「サーカスだ。すげー。」
「ホラ、さっきの人のギター、あったよ。でも、30万円だって。あきらめようね・・・
・・・、あ、そっちなん?」
しんじゅくにはたくさんのミュージシャンがいます。
ぼくは以前バンドをやっていました関係で、人気者を見るとわりと嫉妬します。
ほそみちゃんは案外影響を受けやすい動物なので、この後すぐあのギターかマイクを買いに行くことになる
かも知れません。
ほそみちゃんは、ものごころついてからは一度も東京へ来たことがありません。
なので、さっきから様々な店頭で様々なグッズに引き寄せられています。
そんなときもほそみちゃんは「かわいい」とか「これほしい」とかは一切言いません。
ぼくが本格的にストップをかけるまで、ずっと眺めているのです。
何か利尿作用のあるものを飲ませたりして、この場を離れさせることはできないものでしょうか。
「街には魑魅魍魎みたいのがいっぱいでしょ、ほそみちゃん。」
「そういう言い方は失礼よ。でも、ほんとうにいろいろなパターンのキャラが配置されているわね。」
ターミナルのしくみはよくわからないけれど、
ぼくはまっすぐに、東北からのバスが到着する場所に向かうことができました。
ぼくは幽霊も信じないし、なにかわからないものの作用ということにはしたくないたちなのですが、
たてもの全体が、「なんとなく」いざなってくれたような気がしました。
ほそみちゃんにそれを言ったら、
「これだけ案内グラフィックが浮いているんだから、だれでもまっすぐよ。」
と、少しプンプンしているようでした。
ぼくは彼女に、何か甘い物を食べさせようと思いました。
高速バスは、快適っぽい。結構高速だし。トイレもたくさんある。
ほそみちゃんは、やりくり上手な人で、おうちには貯金箱が死ぬほどあります。
「ターミナルはけっこう、というかすごく便利なので、わたしがグラフィカルにご案内いたします。
わたしのまわりをまわっているのがバス停群の模式図で、各色はアクセス先を示しています。」
新宿にはこういった案内グラフィックやロボットがたくさんあります。
なんでもかんでもかわいいキャラにしなくてもいいとは思うけど、寂しいときはおはなしできてよさそうです。
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